CROSSTALK vol.03
舞台制作の体験を通じて、
裏方仕事の重要性を学ぶ

CROSSTALK vol.3 城之内ミサ×山本圭太×中川花奈

2027年度から川越キャンパスに移転するPACSでは、新たな専用スタジオなどを用いて、舞台表現や舞台制作を実践的に学んでいきます。今回は、「舞台制作プロセスと応用」の授業を担当する舞台監督の山本圭太先生に、舞台監督の仕事や新たに始まる授業について語っていただきました。また、PACSの卒業生で、現在、山本圭太先生の舞台制作会社で共に働く中川花奈さんにもお話を聞きました。

舞台監督の仕事とは何か。

―舞台監督とは、どのような仕事ですか。

山本先生

山本:舞台監督は、映画監督のように演出を担当する仕事だと誤解されることが多いのですが、演劇やコンサートといった舞台作品においては、演出は演出家やそれに類する担当者が務めます。舞台監督は、英語でStage managerと呼ばれる通り、舞台全体をマネジメントして、演出家や脚本家が求めるイメージを実現する役割です。日本では舞台のあらゆる場面に関わっており、制作開始から稽古、本番までをスムーズに進行するために、出演者やスタッフ、プロデューサー、外部の専門家等とも話し合いを重ね、調整をする役割を担っています。

城之内先生

城之内:まさに舞台制作のすべてに関わるポジションですよね。照明や音響、舞台装置などの知識や技術のほか、話し合いや調整のためのコミュニケーション力なども必要になる役割だと思います。

山本:舞台監督がいなければ舞台に関わるものごとは進行しないという要の役割です。本番中のキューコールという出演者やスタッフへの合図出しもします。観客席からは見えませんが、すべてを統括して円滑に進めていくのが舞台監督の仕事です。

―舞台監督を志したきっかけを教えてください。

山本先生

山本:高校の文化祭で経験した演劇の舞台を作る過程がおもしろく、舞台制作に関わる仕事をしたいと思い、知り合いの劇団を手伝うようになりました。小さな劇団だったので、団員全員が出演者兼スタッフ。全員で舞台の仕込みもバラしもし、本番中は、舞台上でお芝居をして袖にはけたら音響や照明の操作をしていました。おかげで舞台に関する仕事を一通り体験しました。そこから舞台制作の会社に入社し、大道具の仕事をしつつ、舞台監督である社長のアシスタントを務めました。25歳のときに初めて舞台監督としての仕事を任せてもらいました。

城之内:今は舞台制作を学ぶことができる大学や専門学校が数多くありますが、数年前までは専門の教育機関はほとんどありませんでしたから、みんな最初から現場で学んでいましたね。

山本:現場では学校のように「教えてもらう」ことは基本ありません。「見て盗んで学べ」と言われて、とにかく先輩の仕事を見て覚えていくしかありませんでした。

城之内:中川さんは、東邦中学校?高等学校で音楽の勉強をしていましたが、いつから舞台監督の仕事に興味を持つようになったのですか?

中川さん

中川:ミュージカルやお芝居が好きで、観劇をするうちに「この空間を作っているのは誰だろう」と考えるようになったんです。出演者でもなく、照明や音響といったスタッフでもない。舞台を作る仕事に興味を持った高校生の頃、ちょうどPACSができ、舞台監督を目指すようになりました。卒業後は、山本先生の舞台制作会社に入社し、アシスタントを務めています。在学中にインターンで、ミュージカル『SPY×FAMILY』(2023年/帝国劇場)に携わらせていただき、今、同じ作品の再演(2025年/日生劇場ほか)に参加し、複数あるチームのうち一つのチーフを務めています。

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